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ばあちゃんと私の物語

9年前から孫一人でおばあちゃんの在宅介護をしています。幼い頃からおばあちゃん子で育ってきた私にとって、人生で一番感謝しているのはばあちゃん。今度は私が面倒をみる番だと思って恩返ししているところです。これまでの9年間を振り返り、祖母の変化や介護を通じて経験したこと、孫が介護しているからこそ出会えた人たち、考えられないようなうれしいできごとについてまとめてみました。よろしければお読みください。

【第30話】ばあちゃんはいい女の香りがする

今の私の楽しみの一つは、ばあちゃんをきれいにすることです。
私は東京の山野美容専門学校の卒業生ですが、そこで学んだトータルビューティの
知識と技術が介護の現場でも活かせているかなと思います。
おしゃれの持つチカラを日常に取り入れることも大事なケアだと思うから、
ピンクのマニキュアはもちろんのこと、ちょっと派手な明るい色のパジャマを着せたり、
日常使うタオルなんかも元気が出るような明るい色を選んだり。
また、清潔を心がけることはもちろん、朝、顔を拭いたあと、入浴したあとは、
ピカピカの肌にいい香りのクリームを塗って、「ばあちゃん、いい女のにおいがするよ」と
声をかけると、ばあちゃんもうれしそうです。
一日に何度もほっぺをさわったり、すりすりしたり、肌の温かさを感じることで、
私もばあちゃんに癒されている気がします。

月に一度は訪問美容師さんにきてもらい、髪をカットしてもらいます。
染めるのは私の役割。ばあちゃんは、もともと身だしなみがきちんとしていないと
ダメな人で、認知症になってからも、髪に白いものが混じってくると
「せこちゃん、染めてくれ」とよく言っていました。
自分のおでこが広いのを気にして、「ひろい」ってよくなでていたばあちゃん。
せこちゃんから見たらうらやましいんだけどね。

今は表情が乏しいけれど、ばあちゃんが笑顔になるとわかります。
自分を支えているモチベーションはこの顔なんだなと思う。
ばあちゃんは感情を言葉にできないだけ。話せばわかってくれるから、去年はいとこの
結婚式が控えていたので、「結婚式が無事に終わるまで元気でいようね」
「ひ孫が生まれるから、顔を見られるように元気でがんばろうね」と声をかけて、
一日も長く元気でいられるようにと、心で願いながら触れ合っています。

私があきらめたらそこで終わり。
だから何があっても大丈夫、乗り越えられるって、いつもいつも思っています。

最後になりましたが、いつもばあちゃんと私を支えてくれる家族、叔父、叔母、
主治医の先生方、看護師さん、訪問看護師さん、歯医者さん、訪問美容師さん、
訪問リハビリの先生、ケアマネージャーさん、そして、ご心配をいただいている
すべてのみなさんにこの場を借りてお礼を言いたいと思います。



長い文章をお読みいただき、ありがとうございました。