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ばあちゃんと私の物語

9年前から孫一人でおばあちゃんの在宅介護をしています。幼い頃からおばあちゃん子で育ってきた私にとって、人生で一番感謝しているのはばあちゃん。今度は私が面倒をみる番だと思って恩返ししているところです。これまでの9年間を振り返り、祖母の変化や介護を通じて経験したこと、孫が介護しているからこそ出会えた人たち、考えられないようなうれしいできごとについてまとめてみました。よろしければお読みください。

【第18話】まさかのお見合い話

ばあちゃんと一緒にいると、エピソードに事欠きません。
入院していたあるとき、私と同じ名前の「せいこさん」と知り合いました。
入院されていたのはせいこさんのお母さんですが、ばあちゃんのネイルがきっかけで
話をするようになり、お互いが同じ名前だとわかって仲良くなったんです。

次の日から、せいこさんの娘さんや妹さんたちが入れ代わり立ち代わり
「おばあちゃんの爪を見せて」と、ばあちゃんの病室にやってくるようになりました。
日によってはせいこさんのおじさんやおばさんまで。
よほどばあちゃんのネイルが珍しいんだろうと思っていたのですが、
ある日、携帯電話に入った写真を見せられて、
「うちの息子、郵便局に勤めてるんだけど、一度会ってみない?」と。
それでも意味がわからずキョトンとしていると、
「せいこちゃんをうちの息子の嫁っこにどうかと思って」
まさか、ばあちゃんの爪にことよせて私を見にきていたなんて…本当にびっくりです。
ただそのときの私は、ばあちゃんのことで頭がいっぱい。結婚を考えるどころでは
ありませんでしたから、せっかくのご縁でしたが笑い話にして終わらせてしまいました。

ばあちゃんだけが本気にして、「せこちゃん、嫁っこさ行ったらだめだ」と、
壊れたラジオみたいにずっと繰り返していたのを思い出します。

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