パート2はこちら
総集編はこちら
パート2は
こちら
総集編はこちら

ばあちゃんと私の物語

9年前から孫一人でおばあちゃんの在宅介護をしています。幼い頃からおばあちゃん子で育ってきた私にとって、人生で一番感謝しているのはばあちゃん。今度は私が面倒をみる番だと思って恩返ししているところです。これまでの9年間を振り返り、祖母の変化や介護を通じて経験したこと、孫が介護しているからこそ出会えた人たち、考えられないようなうれしいできごとについてまとめてみました。よろしければお読みください。

【第29話】じいちゃんが知らせてくれたばあちゃんの急変

つい最近、心臓が止まりそうな出来事がありました。
夜の7時半頃、水分補給をしようとキッチンで準備をしていると、
ベッドから「ウ~ ~」と唸る声が聞こえて、
あわてて見に行くとばあちゃんがけいれんしていたんです。
その姿はまるで全身に電気ショックを受けたみたい。
瞳孔が開き、口の左端がピクピクして、
息ができずに餅をのどに詰まらせたような状態に陥っています。

ばあちゃんには脳腫瘍があり、先生から「いつかは起こる」と言われていました。
これがそうか…と、とっさに思いましたが、どう対処していいかは聞いていません。
とにかくばあちゃんを抱きかかえて、「大丈夫だよ」「大丈夫だよ」と言っていたら、
1分もしないうちにけいれんは収まってくれて、酸素濃度を測ると97~98%あり、
脈は速く103ありましたが意識もあったので、すぐ病院の救急外来に電話したんです。
「水頭症が再発して初めてけいれんが起きました」と言うと、
「すぐにきてください」ということで、救急車を呼び、病院に搬送してもらいました。

金曜日の夜だったにもかかわらず、2人しかいない脳外科の先生のお一人が運よく
いてくださって、けいれん止めの点滴を打ってくれ、正常の状態に落ち着きました。
「先生、初めてのけいれんで」と言うと、
「えっ! 初めてなの? 経験しているのかと思ってたよ。それはびっくりしたでしょう。
今まで何もなかったのが不思議なくらいだよ」
そんなことを言う先生の顔を見た瞬間、私も緊張の糸がほぐれ、
足がガタガタ震えてきました。

ただ、びっくりしつつも、ばあちゃんに何かが起こるとどこかで予想もしていました。
実はその一週間前、夢にじいちゃんが出てきたのです。
「予知夢」とも言えないものですが、これまでも夢にばあちゃんやじいちゃんが出てきて
胸騒ぎがすると、ばあちゃんが体調を崩し、入院するケースが何度かありました。
そのときは、私がオムツを広げてばあちゃんのことを見ていると、じいちゃんが
「あんまり見るな」って一生懸命、私に言うという夢でした。
「でも、見ないとわからないでしょう?」と私も訴えたところで目が覚めました。
次の日には、ばあちゃんのお葬式をしている夢を見ました。
ただ、胸騒ぎはなかったので、朝、家族と叔父と叔母にメールするとき、
「じいちゃんに夢を見せられた。たぶん、ばあちゃんのこと気をつけなさいと
言ってるんじゃないかな」と書いた程度でした。
じいちゃんもばあちゃんのことが心配なのでしょう。
ばあちゃんに異変が起こることをわかって、夢で私に教えてくれたんだと思います。

第30話へ ▶