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ばあちゃんと私の物語

9年前から孫一人でおばあちゃんの在宅介護をしています。幼い頃からおばあちゃん子で育ってきた私にとって、人生で一番感謝しているのはばあちゃん。今度は私が面倒をみる番だと思って恩返ししているところです。これまでの9年間を振り返り、祖母の変化や介護を通じて経験したこと、孫が介護しているからこそ出会えた人たち、考えられないようなうれしいできごとについてまとめてみました。よろしければお読みください。

【第6話】ばあちゃん、食堂の常連になる

3月3日、療養病棟内でおひな祭りがありました。
男性陣はお内裏様、女性陣はおひな様の着物を着て写真撮影。
衣装はすべて看護師さんたちの手づくりです!
“ひな祭り”の歌を歌いながら、桃味のカルピスもふるまわれました。
うまく飲み込みができないばあちゃんも、むせないようにとろみをつけたカルピスを
いただき、味見程度にスプーンで口に入れてあげるとむせることなく完食。
その姿を見ていた看護師さんが、「あら、本当は食べることができるんじゃないの?
飲み込みができるか一度検査してもらったほうがいいよ」と。

その言葉にしたがって、生クリームを使った飲み込みの検査をしてもらいましたが、
やはりうまく飲み込みができず、
「口から食べ物を摂取するのは困難。誤嚥性肺炎になるリスクが高い」との診断でした。
ただ、「家族がどうしても食べさせたければそうしてください」と言われました。

甘い物が大好きだったばあちゃん。
口から何も食べられないのが忍びなく、
病院の地下にある食堂へばあちゃんを連れていき、
ソフトクリームを注文して少しずつ食べさせてみました。
すると上手に、しかもおいしそうな顔をして完食。
見ていた私も思わず微笑んでしまったくらい、いい顔をするんです。
この日から、平日はほぼ毎日、ソフトクリームを求めて食堂通い。
こちらからお願いせずともカップに入れてもらえるほど常連になり、
退院する頃には、私もばあちゃんもしっかり太ってしまいました(笑)。

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