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ばあちゃんと私の物語

9年前から孫一人でおばあちゃんの在宅介護をしています。幼い頃からおばあちゃん子で育ってきた私にとって、人生で一番感謝しているのはばあちゃん。今度は私が面倒をみる番だと思って恩返ししているところです。これまでの9年間を振り返り、祖母の変化や介護を通じて経験したこと、孫が介護しているからこそ出会えた人たち、考えられないようなうれしいできごとについてまとめてみました。よろしければお読みください。

【第23話】家政婦の夏井さん

家政婦の夏井さんとの付き合いは、
ばあちゃんの介護を始めた年からなのでもう9年になります。
最初に長期入院したとき、慣れない介護でひどい腰痛になり、週に一度は休息をとろう
と家政婦さんにばあちゃんの付き添いをお願いしたことは7話でも書きました。
ただ、最初から夏井さんだったわけではありません。
何人もの家政婦さんをお願いしましたが、ばあちゃんと波長が合ったのは
夏井さんが初めてでした。

夏井さんとほかの家政婦さんとの違いは、ばあちゃんの好きにさせてくれるかどうか。
ほかの家政婦さんは、ばあちゃんが食べ物をこぼしたり、まわりを汚したりすると
注意したり、ばあちゃんに何もやらせなかったりしました。でも、認知症の出ていた
ばあちゃんにとっては強制される・怒られることがもっともストレスになります。
こぼしたってあとから片付ければいい。なのに「あれダメ」「これダメ」と強制されて、
いつも穏やかなばあちゃんが癇癪を起して入れ歯を投げつけちゃったぐらいです。

その点、夏井さんはいつでもばあちゃんの好きなようにさせてくれる。
ばあちゃんも夏井さんがそばにいると安心するみたい。
夏井さんがうたたねしていると、
ばあちゃんが毛布をかけてあげたことがあるくらい、
とても身近に感じていたんだと思います。

ちなみに夏井さんは、夏になると「ババヘラアイス」の販売員になります。
秋田の方ならご存知だと思いますが、ババ(おばあさんのことを秋田ではこう呼びます)
たちが、夏になるとパラソルの下でアイスの路上販売をするんです。
ババがヘラを使ってコーンにアイスを盛り付けることからこの名が付いたそうですが、
ベテランになるとバラの花びらのようなきれいな盛り付けをしてくれるババもいて、
秋田の隠れた名物になっています。
目印はピンクと黄色の派手な2本のパラソル!
国道沿いや海岸で見かけたら、一度食べてみてください(笑)。

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