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ばあちゃんと私の物語

9年間、孫が一人でおばあちゃんを在宅介護してきたあゆみを30話の物語にし、『孫の手』としてまとめたところ、読んでくださった多くの方から「感動しました!」「がんばってね!」と励ましのお言葉をいただきました。人から人へ手渡され、今では『孫の手』が看護学校の図書館や介護施設、認知症カフェなどにも置かれるようになり、反響の大きさを感じています。最近になって「物語のつづきはまだ?」と聞かれることが増え、思い切って、また筆をとることになりました。よろしければお読みください。

【第49話】ばあちゃんと父、W介護の危機!?

6月22日、ばあちゃんが今年2回目の入院をしました。
このときは、尋常じゃないくらいの尿漏れがあったんです。
訪問看護師さんにフォーレ(おしっこの管)を交換してもらったその日のうちから
尿漏れがひどく、異変を感じていました。
さらに夜にかけて痰や唾液の量もすごくなり、まるでうがいをしているようでした。
夜通し吸引しっぱなしで眠ることもできず、これはおかしいと翌日受診。
内科のK先生にお世話になり、血液・尿検査をしてもらうと、炎症の数値が高く、
「尿路感染の一歩手前」とのことでした。

ばあちゃんが落ち着き、ホッとしたのもつかの間、思いがけない事件が起こりました。
今度は父が脳梗塞で倒れてしまったのです。
7月2日の朝、ばあちゃんの付き添いで病院にいたとき、
親と同居している弟から「急用だからすぐ連絡ほしい」とラインメッセージがきました。
折り返し電話すると、「お父さんが脳梗塞になって、今、病院にきている」とのこと。
一瞬、「ばあちゃんだけでなく、父の介護まで始まったらどうしよう…」
という思いが頭をよぎりました。
「え!? 意識はあるの? 歩けるの? 話せるの?」
「大丈夫。意識もあるし、話せるよ」
お医者さんの話では、軽い脳梗塞で、足に多少の後遺症が残るかもしれないが
手術はせず、リハビリで回復するだろうということでしたが、
自分の目で父の無事を確認するまでは安心できません。
翌日、家政婦の夏井さんに付き添いを交代してもらい、
大雨の中を新幹線で病院へ向かいました。
実際に、父が歩いている姿を見て、ようやく安堵しました。

2週間のリハビリを終え、父が退院したのは偶然にもばあちゃんの退院日と同じ。
今も少し足を引きずってはいますが、仕事にも復帰し、元気に働いています。
何より良かったのは、言語障害の後遺症が出なかったことです。
父も叔父も兄弟そろっておしゃべりが大好きなので、
思うようにしゃべれなくなったらさぞストレスがたまったことでしょう。

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