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ばあちゃんと私の物語

9年間、孫が一人でおばあちゃんを在宅介護してきたあゆみを30話の物語にし、『孫の手』としてまとめたところ、読んでくださった多くの方から「感動しました!」「がんばってね!」と励ましのお言葉をいただきました。人から人へ手渡され、今では『孫の手』が看護学校の図書館や介護施設、認知症カフェなどにも置かれるようになり、反響の大きさを感じています。最近になって「物語のつづきはまだ?」と聞かれることが増え、思い切って、また筆をとることになりました。よろしければお読みください。

【第41話】突然の訪問者

結局、ばあちゃんは10日間入院させてもらい、
数日後、私の熱も下がって、弟と一緒にばあちゃんの病室にいたときのことです。
その弟に、東京の叔父から「今どこにいるの?」と電話が入りました。
「今、ばあちゃんの病院。姉ちゃんも一緒に来てるよ」
すると、「俺もあと30分でそっちに着くから」と言うのでビックリ。
叔父には毎日、ばあちゃんのことを電話で報告していて、
私の病気のことも細かく伝えていたので、心配して様子を見に来てくれたのです。

いつもならうちに泊まるのですが、気を遣って「ホテルを取ってきた」と言う叔父。
次の日、「せこちゃんの食料を買いに行こうか」と言ってくれましたが、
それも私が食べられないのを承知のうえで言ってくれる叔父のやさしさ。
「食料がいらないなら、洋服でも買いに行くか?」
「ごめん、今は人混みがダメだから。それよりうちで話そうよ」
毎日電話している相手とはいえ、顔を見て話すのは久しぶりです。
ばあちゃんのベッドの横でいろいろな話をたっぷりしたあと、
叔父はまた東京へ帰っていきました。
ばあちゃんも耳は聞こえているので、息子の話を楽しく聞いたことでしょう。

その数日後、叔父から大きな荷物が届きました。
箱を開けると、固形物の入っていないスープが60缶も!
そこに込められた叔父の思いがありがたく、うれしかったです。

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