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ばあちゃんと私の物語

9年間、孫が一人でおばあちゃんを在宅介護してきたあゆみを30話の物語にし、『孫の手』としてまとめたところ、読んでくださった多くの方から「感動しました!」「がんばってね!」と励ましのお言葉をいただきました。人から人へ手渡され、今では『孫の手』が看護学校の図書館や介護施設、認知症カフェなどにも置かれるようになり、反響の大きさを感じています。最近になって「物語のつづきはまだ?」と聞かれることが増え、思い切って、また筆をとることになりました。よろしければお読みください。

【第42話】苦しいのは自分だけじゃない!

慢性胃炎と診断されたとき、
点滴を受けに行っていたT胃腸クリニックの看護婦さんが、
私の訴える症状を聞いて「わかるわ、わかるわ、うちの娘とそっくり」と
何度もうなずいていました。
そして、「トンネルのように暗くて狭い場所には行かない方がいいわよ」と。
なぜそんなこと言うんだろうとそのときは思っていましたが、
実は、看護婦さんの娘さんも私と同じ病気だったんですね。
うすうす察しつつも、「あなたはパニック障害よ」とも言えず、
そのときは「わかるわ」しか言えなかったそうです。
私が「パニック障害でした」と話すと、娘さんのことを教えてくれました。

同じように、美容院や歯医者さん、訪問美容師さんにも自分の病気のことを話すと、
「実は私の友達もそうなのよ」
「こういうことは気をつけたほうがいいみたい」
「こんな治療方法もあるそうよ」
と、さまざまな情報やアドバイスをもらえることがわかりました。
「自分だけじゃない、ほかにも同じ病気で苦しんでいる人がいるんだ」
オープンに話すことで、気持ちが少し楽になりました。

まわりを見ていると、良いことは人に話すけど、
悪いこと、特にこういう病気は自分一人で抱え込み、
隠そうとする人が多い気がします。
私はその逆。
「自分はパニック障害で病気なんです。急に発作が起きてしまうかもしれませんが、
すぐに落ち着きますからビックリしないでくださいね」と言うようにしました。
すると、話をしたことによって、エアコンの温風が当たらないようにしてくれたり、
美容院なら巻いてもらうタオルもゆるめにしてくれるとか。
押し付けではない、人にそっと寄り添う気遣いに心が和らぎました。

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