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ばあちゃんと私の物語

9年間、孫が一人でおばあちゃんを在宅介護してきたあゆみを30話の物語にし、『孫の手』としてまとめたところ、読んでくださった多くの方から「感動しました!」「がんばってね!」と励ましのお言葉をいただきました。人から人へ手渡され、今では『孫の手』が看護学校の図書館や介護施設、認知症カフェなどにも置かれるようになり、反響の大きさを感じています。最近になって「物語のつづきはまだ?」と聞かれることが増え、思い切って、また筆をとることになりました。よろしければお読みください。

【第45話】私がばあちゃんの主治医!?

ばあちゃんは静かに眠っているだけで、ここが痛いとか、苦しいとか、
自分で話すことができません。
私が代わりに調子の悪いときのばあちゃんの様子を事細かく先生にお話するのですが、
担当内科医のK先生は、いつも真摯に耳を傾けてくださり、
私の説明をもとに必要な検査をして、診断してくれます。
真面目で、穏やかで、看護師さんにも患者さんにも評判のいいK先生。
年齢は私の父と同じくらいでしょうか。

今回も、
「首を横に曲げて伸びをしていたので熱を測ったら、どんどん上がっていきました」
「朝から痰の絡みが多く、お腹にガスもたまっています」など、
ばあちゃんの体の現状を報告していると、黙ってうなずきながらメモをとり、
すべて聞いたうえで、検査の指示を出していました。

「それにしても助かるよ。お孫さんはおばあちゃんの主治医だね」
ふいに言われて、ビックリしたのは私です。
でも、ちょっとうれしかった。
あわてて「先生、冗談はやめてください!」と返すと、
先生もニコニコ笑っていました。

反対に、介護に関して教わることも多いです。
このときの入院は真冬で、ばあちゃんの足が冷たかったので靴下をはかせていたところ、
「人は足の裏で体温を調節するから、布団の中で靴下ははかせないほうがいいのよ」と、
看護師さんから教えてもらいました。
それでばあちゃんの体調が維持できるならと、家でもそのことを実践しています。

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