今も大切にしている、祖母の「3つの教え」
幼い頃からおばあちゃん子だった私に、祖母が教えてくれたことが3つあります。
- 1つ目は、相手の話をよく聞くこと
- 2つ目は、相手をよく見ること
- 3つ目は、相手に合わせること
ばあちゃんは、人を思う達人です。自己主張より人の言葉を受け入れ、
相手の立場に立ってものを考える器の大きな女性でした。
ばあちゃんのまわりは、いつも笑顔があふれていました。
私もいつか、ばあちゃんのようになりたいと思っていました。
この3つの教えは今も私の心に生き続けています。
ばあちゃんからは、ひと手間かけたおいしい家庭料理もたくさん教わりました。
特に煮物は絶品! 私が料理好きになれたのも、ばあちゃんのおかげです。
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こんなはずじゃなかった私の人生
ここで、簡単に自己紹介します。
地元秋田の高校を卒業し、東京の美容専門学校を出た私は、
一人暮らしをしながら働く普通のOLでした。
しかし、32歳のとき、東京の仕事を辞め、大好きなばあちゃんの介護のため、
秋田に戻ってきました。
水頭症の手術後、ばあちゃんに言語障害、
嚥下障害、認知症などの症状が出て、
つきっきりで面倒をみる人が必要になったのです。
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最初は何もわかりませんでした
まずは毎日、秋田市の総合病院に通い、朝から晩まで付き添って、
実家に戻ったときのために看護師さんから流動食の扱い方、
オムツ交換のやり方などを教えてもらい、少しずつ介護に慣れることから始めました。
「平らに寝たまま流動食を流すと逆流してしまう可能性があるので、
足と頭の角度を少し上げ、V字のような形にするといいよ」と、
入院病棟の看護師さん達から教わりました。
初めての摘便は、指をどこまでお尻の穴に入れていいものか、
加減がわからず苦労しました。看護師さんによれば、
「ガスがたまっているときは風船の中に指を入れたような感覚。
便が降りてくると、お尻に入れた指先が便に触れ、
便を出し切ったときは、腸の入り口が蓋された感覚を指先で確認することができる。
便色の粘液便が出たら、だいたい排便終了のサインだよ」と教わりました。
最初の頃、ばあちゃんはオムツに抵抗があって、私が交換しようとすると、
手で隠したり、恥じらうようなしぐさを見せていましたが、
やがて「せこちゃんがいないとなんにもできない。嫁っこさ行っちゃダメだ!」
と言うようになりました。
「出発」「進行!」「レッツ」「ゴー!」
その頃、ホームヘルパー2級の資格も取りました。
介護が必要になってもなるべく自分の足で歩けるようにと、実家に戻ってからも、
毎日の散歩は欠かしませんでした。
車で近くのショッピングセンターに行き、カートにばあちゃんをつかまらせて、
全フロアを歩きながら買い物をしたのもいい思い出です。
ちなみに、車に乗ると必ずやっていたことがあります。
私が「しゅっぱつ」と言うと、ばあちゃんが「しんこー」と言うのです。
私が「レッツ」と言うと、ばあちゃんが「ゴー」。よく父に、
「せこちゃんとばあちゃんは、ふたりで一人前だな」と言われていました。
訪問看護師さんがそのやりとりを見て、
大笑いして帰られたこともあります。
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